転生漢

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[変身]  兼継は粕雅山城内にある影勝の屋敷に戻る途中、影勝に「質問」をぶつけた。 兼継「それで、殿は先程の御実城様の話、どう思われました?」 影勝「…御実城様の魂が女だと言うのはお主の言葉で納得したが、転生漢とやらは『胡散臭い』のでは無いか?」 兼継「実を申せば、手前もそう思いました」  幼い頃には信じていた時期もあったが、今では「変化の術」の類の話は「御伽話」だと言うのが、彼等の「共通の考え」だった。  しかし翌日、彼等はその認識が「間違い」だと知る事になる-。 (翌日・毘沙門堂) 兼継「…御実城様!?」  影勝と兼継が再び謙芯に会いに行くと、そこに居たのは「長い黒髪の若い女性」だった。  更に言えば、身の丈も五尺(一五〇センチ)程に縮んでおり、「前日までの姿」は影も形も無かった。  尚、「着物」については、姉の桃仙院(とうせんいん)から借りた物が用意されていた為、既にそちらに着替えている。 隼瀬「よもや、これ程早く転生漢の術を極められるとは…」 謙芯「だから言ったじゃろ? わしの魂は『女』じゃと」  転生漢の術で最も難しいのは、「女の気持ちになりきる」事である。  しかし最初から「女」であるのならば、その点で苦労する事は無い。  この結果は、謙芯の魂が「紛れも無く女」である事を示していた。
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