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「ほら小天使。あそこで必死に手紙を書いてる男の心の乱れが見えるか?」
「はい大天使様。見えます。自分の不運を全部、前世のせいだと思い込んで攻め立てています。とても怖い事だと思います」
「君は賢いね。ああやって、すべての事を誰かのせいにする人間は、さらに大きな報いを受けることになる」
「どうにか助けてあげられないでしょうか」
「君はあの男を救いたいと?」
「はい」
「優しい子だ。では彼に気づかせてやりましょう。このままではもっと不幸になると。あの男が眠った後二人で彼のそばに舞い降りましょう。そして優しく洗礼してあげるのです」
「はい、大天使様」
手紙を書き終えた男はペンを投げ捨て立ち上がり、怒りに任せて窓をひき開けた。
「ザケンナ! 何が救いだ何が洗礼だ。奇妙なコスプレして事前調査してんじゃねえ。お前ら世間騒がせてるこそ泥だろ。金奪ってこれ以上俺に不幸背負わせたらぶっ殺すぞ! おい逃げるな! 羽根忘れてっぞ!」
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