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「……いやぁ、それにしても、みらいちゃんが家宝かぁ。成功率100%の僕達が、最後の最後で負けるなんて」
「最後くらいちゃんとやり遂げたかったんだが」
全く、この人達ときたら反省してるのかしてないのかどっちなのやら。呆れ顔で見ていると、陽希が二人の会話に割って入った。
「何言ってんだよお前ら。俺は今回もちゃんとやり遂げましたけど?」
「え?」
夕陽と青葉は何言ってんだこいつと言いたげな顔で陽希を見る。
「家宝って、みらいちゃんだった……んだよね?」
確かめるように尋ねる夕陽に、陽希は頷く。
「そ。だからちゃんと盗ませて貰ったよ、みらい様の事」
陽希は私の後ろに立つと、首の襟元部分を下に引っ張った。そこには、先程陽希が付けたあの痕がくっきりと浮き出ていた。
「なっ、陽希!」
慌てて私は首元を手で隠す。陽希は悪びれた様子もなく笑うと、私を後ろから抱きしめた。
「何恥ずかしがってんだか。さっき俺の事好きって言ったの誰だっけ?」
「み、みらいちゃん、ま、まま、まさか、陽希様に告白を!?」
「いや、あのね、美優、これには色々と深い事情がありまして……」
あたふたとする私を見て陽希は楽しそうにしている。やはりこいつは悪魔だ。
「なぁんだ、やっぱりはる君の事好きだったんだね。しかもちゃっかり告白してるし」
「はぁ……イチャつくんなら、他でやれ、鬱陶しい」
「だってさ、みらい様。どうする、これからみらい様の部屋に戻って、さっきの続きする?」
ニヤリと笑う陽希に、我慢の限界に達した私は、家中に響くくらい大きな声で叫んだ。
「……陽希の、大バカ野郎━━━━っ!!!!」
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