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低くて落ち着いた声が、私のすぐ耳元で聞こえた。
声に気づいたのか、他の二人がこちら側を見る。
と同時に後ろのドアが閉められ、後ろから小さな明かりが灯される。
先ほどよりも部屋の中が明るくなり、驚いたようにこちらを見る二人の男の人と目が合った。
「えっと、何、この状況?」
「……馬鹿、この家の奴にバレたんだよ」
ムスッとした表情で男の人がこちらを見ている。
その目は鋭く、心の中まで見透かされてしまいそうだった。
反対にもう一人の男の人は優しそうな雰囲気で、男の人なのに可愛いといった方がピッタリな容姿をしている。
この人達、一体何者……?
「いつまで時間かかってるの?」
ふと私の側で声が聞こえた。
私を押さえているもう一人だ。
その人の問いに、可愛いらしい顔の男の人はため息をつきながら口を開いた。
「だって、見つからないんだもの。はる君が言うような家宝なんてここには一切ないよ?」
「……そもそも、金目になるような物自体、この家からは見つからない」
鋭い目の男の人も続けてそう答えた。
「……いや、必ずどこかにあるはず」
私を押さえつけたまま、男の人はポツリと言う。
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