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駅から2人で歩いていると、
「おーい。」
と彼の声を少し渋くした感じの声が聞こえて振り返ると、
「わあ、透さん、今帰りだったの。」
と私は驚いて声をあげる。
そこにいたのは、私たちの父である木内透(きうちとおる)だった。
「おやじ、さっきの電車だったのか。」
と兄は何気なく聞くと、
「電車はさっきのより前かな。恵美さんに頼まれて豆腐を買ってたから。」
と豆腐の入ったであろう袋を見せた。
「そうなんだ。」
と私は少し安心した声で答えた。これだから駅から先は手がつなげない。
「相変わらず、仲良しなんだな、お前ら」
「まあ、委員の当番一緒だったし。」
「帰り道も一緒だし。夕方に妹1人にさせるわけにいかないし。」
「もー、過保護だな。お兄ちゃんは。」
と3人で会話しているうちに、「沢良宜」表札が付いた家に到着した。
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