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それから時は流れ、
僕はようやく気づくことが出来た。
あの足跡を見つけたのではない。
どの方向が前なのか、
それに気づくことが出来たのだ。
結論から言うと、
四方八方、全ての方向が前だったのだ。
例えその方向が誰かにとっての後ろでも、
自分にとっては前でしかない。
選んだ道を真っ直ぐ前に進む。
正解か、不正解か、
それはハッキリ言って分からないが、
それしか前に進み続ける方法はないのだ。
もし靴紐が緩めば立ち止まればいい。
靴紐を結び直す時間くらい、余裕を持ったほうが、転んで方向を見失うこともないだろう。
そして、気づいたことがもう一つ。
当たり前のことだけど、
僕が歩いた道にもちゃんと足跡が残されていた。
汚ったない足跡だ。
目も当てられない。
けれどいつか、この足跡を、
雨が降っても済んだ水が溜まるような、
そんなきれいな足跡にしたいと思っている。
そしてあの、僕を導いてくれた、
きれいな足跡のように、
誰かの歩みを迷わず進めてあげられるような、
そんな足跡を残せるように、
今日も僕は歩き続ける。
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