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気がつくと、辺り一面に足跡があった。
その足跡は全て、
形も大きさも歩む方向も違い、
一貫しているのは、
どこまでも、どこまでも、見えないほど遠くへと続いていることだけだった。
その中で、
僕は一つのきれいな足跡を見つけた。
数ある足跡の中で、
その足跡だけ、僕は妙に惹き付けられた。
「こっちへおいでよ」
僕はその足跡にそう言われた気がして、それを辿ることにした。
晴れの日も、雨の日も、雪の日も、雷の日も、
くっきりと残ったその足跡を頼りに、
前へ前へと歩み続ける。
時には険しい道のりだった。
しんどくて、辛くて、
何度も靴紐は解け、転んでしまった。
けれど道を誤ることはなかった。
道筋はいつも、その足跡が教えてくれた。
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