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ゆうこへ
来るな。
そこから動かないでくれ。
俺の不注意だ。
お前の事を判っていたはずなのに、あの日、無意識に口にした一言で、お前は出ていった。
「牛乳が飲みたい」
それだけでお前は酪農の道へ突き進んでしまった。
毎日新鮮な牛乳を俺の部屋まで持ってくる。
片道100キロの道のりをニコニコと笑顔で手渡しに来るお前は、日に日に痩せてしまった。
付き合い始めは80キロを超えていたお前の体重は、今では50キロにまで落ちている。
俺はそんなお前の事が心配で、心配で堪らない。
お陰で俺の頭髪は1本も残っていない。
だから、俺は覚悟を決めたよ。
この部屋を引き払い、仕事も辞めて、お前の傍に行く。
今から俺がお前に会いに行く。
だからお前はそこにいろ。
ゆうこ、愛している。
結婚しよう。
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