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可奈子へ
お便りありがとう。日本では考えられませんが、先日挙式しました。今ではすっかり町の中に溶け込み、穏やかに暮らしています。
ですから気遣ってくれるのはありがたいけれど、もう無用に願います。
僕の性的指向を気付かせたと言いますが、それは違います。君が自責の念を負うことは何一つありません。
白状します。君に近づいたのは最初からお兄さん狙いでした。兄によく似た妹の面差しを利用したんです。
逆に妹の好みも兄は似るのですね。顔を合わせる度に僕を意識し始めたお兄さんを落とすのは簡単でした。
僕は君に「自分の兄に恋人を奪われた女」というレッテルを貼らせてしまった最低の男です。僕を悪者と詰って下さい。その方が皆の心も楽でしょう。
優しい可奈子のことです。どうか僕を庇わないで。
この愛を手にする為に全てを捨てる覚悟でしたから。
最後にこれだけは真実。
可奈子の幸せを心から願っています。
啓太
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