34人が本棚に入れています
本棚に追加
(まぁ、1番安全そうなのは朝廷だよなぁ…でも、この時代の朝廷は貧乏だって言うし、武田家とは違って流れ者の俺を雇ってくれる酔狂な余裕なんてないか…)
そんな事を考えていると晴信は板垣に話しかける
「さて板垣、諏訪郡代ご苦労である!諏訪は変わりないか?」
「は!諏訪勢はお舘様への忠誠心に変わりなく、来年には佐久を完全に手中に収める事が叶いましょう」
晴信は満面な笑顔で
「うむ、祝着である!」
と喜びハッハッハ!と、板垣と2人で笑う
その様子を見て雅弘も作り笑顔でハハ…ハと、場の空気に合わせて笑うが心の中では…
(ぜってぇヤベェ状況だよ)
と焦りまくる
流れ者の俺の前で躊躇もなく戦の話をしているよ…
信玄はここに来る前に板垣のオッサンに会っているはず、じゃなきゃ“板垣の話では…”云々言うはずが無い!
その時に戦の話を色々すれば良いものをわざわざ、流れ者の俺の前でするって事は…
完全に俺を佐久攻めに参加させる気だ…
間者だろうと何だろうと前線に立たせて敵を倒せば良し、死んでも道端で拾った者なんだから惜しくも何ともないもんな…
そう考え焦る雅弘に晴信は再び話しかける
「日高雅弘、今宵は我が館でゆるりとするが良い、今宵は郡代の帰省の宴をするので参加せい!」
「ハハ!その様な祝いに加えて頂けるとは恐悦至極でございます!」
とりあえずおべんちゃらを使う雅弘
すると若い小柄の小姓が広間に入ってくる
「おぉ!源五郎!息災か!」
と、板垣はその若者に笑顔で話しかける
するとその小姓は雅弘の左斜め前に座ると板垣に答える
「これは板垣様!諏訪郡代の御役目お疲れ様でございます!今宵の宴の準備も滞りなく進んでおります楽しみにお待ち下さい」
「うむ、楽しみにしておるぞ」
と、挨拶を交わすと源五郎はジロリと雅弘を見る
最初のコメントを投稿しよう!