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その様に源五郎と雅弘に勝負を見物する晴信と信方
信方は2人の構えを見て正反対と言ったが何も攻撃型と防御型と言うわけでは無い
雅弘の居合いの構えは一撃必殺の構えで確かに攻撃主体だが、源五郎の上段の構えも攻撃型だ
ただ、居合いはどちらかと言うと自身の間合いに相手が入った時に攻撃を繰り出す待ちの戦法
それに対し上段の構えは積極的に動き相手の間合いに切り入る戦法だ
対極的ではあるがどちらも超攻撃的な構えなのだ
雅弘はぐっと腰を落とし木刀を左腰に構えているため木刀を振り抜いた時の軌道は左から右に走るため初動から切っ先の到達点に達する迄の時間差が当然ある
その為、源五郎は右回りに少しずつ間合いを詰めていく
右側に入れば居合いで繰り出される斬撃に対応しやすいからだ
だか、当然雅弘が黙って死角に入られるわけがない
軸足を中心にすり足で方向を変え源五郎の動きに対応し常に源五郎を正面に捉えている
そうやってじりじりと互いの間合いが狭まり始める
そして、ピタリと2人の動きが止まる
互いの間合いが重なり合ったのだ
居合いは第一撃をかわされれば大きい隙を造る
その隙を突かれれば一溜まりもない
源五郎はその隙を狙うため雅弘の間合いギリギリの所で膝をクッと曲げ攻撃にうつると見せ、雅弘にフェイントをかける
雅弘がそのフェイントにかかり斬撃を繰り出せば源五郎は後ろにはね除けすぐさま前に飛び込み上段に構えた木刀を雅弘に振り下ろすつもりなのだ。
腰をぐっと落としている雅弘が第一撃をかわされれば源五郎の繰り出す斬撃をかわす事も受ける事も出来ないだろう
互いに相手が何を考えているかわかっているが故に源五郎のフェイントによる駆け引きは勝負を左右する
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