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その者は、パッカパッカと馬の足音をならしながら近づくと馬上のまま雅弘に問いかけてくる
「武田家家臣!板垣信方である!!怪しき者とはお主であるな!何処から参った!」
(板垣信方!知っているぞ!!武田家重臣の板垣信方…)
……?
(小っさ!何、その馬!!ポニー!?馬に乗ったままなのに俺と目線があまり変わらないし!)
「時代劇ドラマと随分違うなぁ…」
ボソリと雅弘は思わずつぶやく
すると
「聞こえん!もっとハッキリとものを申せ!」
と、苛立ちをあらわにする板垣
(やべ!怒らしちまった)
「あぁ、えっと…神奈川から来たんですけどね…」
(と、言っても通じないんだろうなぁ…)
そう思い、なんて説明したらいいのかと再び考える
(下手に答えたらまた、北条の間者と勘違いされそうだし…)
「神奈河だと?其方、北条の者か?」
ジッと睨む板垣に対し、アレ?と、惚けた顔で驚く雅弘
(通じた…てか、昔から神奈川って言われていたんだ…)
そう、字は違うがかなり昔から神奈河郷と言う地名があり、そのうち神奈川と言われるようになるのだが、この神奈河郷は相模国にある
戦国時代の相模と言えば、北条家の領地
農民はわからなくとも、板垣信方ほどの者なら知っていた
(イヤイヤ、感心している場合じゃない!)
「えぇっと…北条とは関係ないです、ただの旅のものです…」
疑われないようにありきたりな事を答えると意外にも納得した様子の板垣
「ふむ、相模の出ではあるが北条とは関係ないと申すか…其方、名はなんともうす?」
農民達5人とは全く違う反応を示す板垣信方
「日高雅弘と言います。」
「ほう!日高雅弘と申すか、その体躯といい良き名前じゃのう歳はいくつじゃ?」
「16です」
先程は苛立ち声を荒げたが急に和やかな表情になり色々と聞いてくる板垣信方
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