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闇が降りて来る。
人間達の街。
機械の街。
ここは人の世界。
たくさんの他人の世界。
誰が為の世界でも無い。
誰かはいない。
俺を見る誰かも。
「ガアッ……あッ……あああッ……」
ほんの数分前に降った雨の水の溜まりを蹴り飛ばし、男の頭を掴む。
俺を見る誰かはまだ、ここにはいない。
「お前ェ……何……する……あッ……がッ……つもり……だ」
黒い溜まりに男の頭を突っ込む。
「オヴォ……ヴぉほっ……」
時計を出し、カウントを刻む。
3分、180秒。
呼吸困難から意識障害までの時間。
「1……2……」
「がッ……ほッ……」
意識が途切れれば、後は沈め、放っておけばいい。
「お前なんて、すぐに埋まってしまう」
力が、抜けていく。
「お前の底なんて、そんなものだよ」
命の感触が無くなっていく。
抵抗の力、温もり。
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