1ーカニバリスト、その顔。

2/9
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
闇が降りて来る。 人間達の街。 機械の街。 ここは人の世界。 たくさんの他人の世界。 誰が為の世界でも無い。 誰かはいない。 俺を見る誰かも。 「ガアッ……あッ……あああッ……」 ほんの数分前に降った雨の水の溜まりを蹴り飛ばし、男の頭を掴む。 俺を見る誰かはまだ、ここにはいない。 「お前ェ……何……する……あッ……がッ……つもり……だ」 黒い溜まりに男の頭を突っ込む。 「オヴォ……ヴぉほっ……」 時計を出し、カウントを刻む。 3分、180秒。 呼吸困難から意識障害までの時間。 「1……2……」 「がッ……ほッ……」 意識が途切れれば、後は沈め、放っておけばいい。 「お前なんて、すぐに埋まってしまう」 力が、抜けていく。 「お前の底なんて、そんなものだよ」 命の感触が無くなっていく。 抵抗の力、温もり。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!