忘れられない愛の唄

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「リク姉」 「うん」 「僕は成音のこと好きだし、尊敬してる。だからがんばるんだ。ちゃんと一緒にいたいから」 「……そうだよね」 知っていた。 可愛らしくも芯のある蒼良のガールフレンド。素直ないい子で、たまに遊びに来てくれるときには、自分も宇深も実の妹のように可愛がっている。 そんな宝物を、弟自身がどれだけ大切に想っているか。 そんなことは見ていれば、聞いていれば、あえて問う必要などないほど自然と伝わってくる。 「どうしたの、リク姉」 今更なにを、と言いたいのだろう。裏側にある気持ちを透かし見るように、蒼良がゆっくりと問いかけた。 その視線から逃れるように、私はふいっと目をそらした。そのままぽつりとつぶやく。 「誰かを好きになるって、どんなかなって」 私だってひとの気持ちは見ていれば分かる。 蒼良は成音ちゃんのことが大好きだし、うちの両親は結婚30周年を迎えてもずっと相手のことを想いやっている。現在フリーの宇深だって、彼女がいたときは毎日毎日一生懸命過ごしていた。 真っ直ぐに誰かを想う、ということは私の憧れだった。 自分にはいまいちピンと来ないから、余計に。 蒼良はなにも言わず、私の言葉を待っていた。 「恋愛偏差値低いからさ、よく分からないのよ」 「気になる人が、いるの?」 「気になる……そうね。気になるかな」
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