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アナテマがクチバシを挟みますが、私はもらい泣きしそうになって堪えるので懸命でした。
「違うのじゃ、これを見ろ」
アナテマの鎖がジャラジャラと反応しています。その先には鞄のなかの本がありました。
「これは宮澤賢治の本……これにブックカースが!?」
私が本を拾い上げていると、急に目の前を黒猫が走り抜けました。昨日見た黒猫です。
また壁の下の狭い溝から、アーモンド型をした悪戯な眼を光らせています。
「あっ、奥になにかあります」
ヒロミが声をあげるので奥を覗き見ると、たしかに猫の向こうに黒い紙袋が落ちていました。
アナテマの鎖で奥から引きずりだすと、紙袋のなかにも黒猫がいるではありませんか!
それを見た瞬間、私は喝采の声をあげました。
「これで本当の真相がわかりました!」
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