0人が本棚に入れています
本棚に追加
……どれ、一つ、私の残された力で、お前達に少しだけ未来を見せてやろう」
言うなり、完神はクテン達の額に手を軽く置き、ウンと力を入れた。
フッと何かの力がクテン達の頭の中に流れ込む。酔っ払ったようにフラフラする。
「後ろを見よ」
完神の声に従い、フラフラしながら後ろを見ると、見た事のない小さな子ども達が大勢いた。
不思議だ……初めて見るはずなのに、僕らはこの子等を…知っている?
「……コロン、カッコ、カンマ、シャープ、スラッシュ……」
口にした事のない名前達。でも、不思議とこれがこの子達の名前だと分かる。
呼ばれた子ども達は、呼ばれた順に元気良く「ハイッ!」と手を挙げながら答える。
「どうだね」
完神の声に、ふと我に返る。子ども達の姿は消えていた。
「完神様! 今のは……?」
「少しだけ未来の映像だ。そしてあの子等はやがてお前達の神族の末席に加わる者達だ。
そもそも私と二神族、お前達新神族は出自が違う。お前達は私から生まれたのではない。
だから、同じ神族になろうなどとするな。最初から叶わぬのだから。
クテン。お前は新神族の長となるべき者。我ら《文字》ではなく、彼ら《記号》を束ねる存在、筋護運族の長に。
最初のコメントを投稿しよう!