クテンは苦悩していた。

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 己に課せられた役割の辛さに惑うな。役割を果たし続けた先に、初めて意味が生まれるのだ。今の役割が辛いからと言って、簡単に投げ出さないでおくれ。この世界には、これからもお前達が必要なのだ」  クテンは頭を下げた。 「完神様の仰る通りです。私は恥ずかしい。目先の苦しみに囚われ、己に課せられた役割を投げ出し、『これは己の役割ではない』などと放棄しようとしていた。結果としてこの世界を、そして未来をも壊してしまう所でした。  このクテン、これより心を入れ替え、トウテンと共に世界の秩序を守り続けます」  クテンの決意に、完神は一つ頷き、次にトウテンに語りかけた。 「トウテン。お前はクテンを支えておやり。クテンの苦しみをよく聞き、理解し、寄り添ってやるんだ」 「受け賜りました。必ず」  トウテンはクテンと並んで平伏し、決意した。  二人は後に新神族・筋護雲族の二大長、通称『クトウテン』と呼ばれる事となる。  句読点…文章を読みやすく、理解しやすくする為の、切れ目や終始を示す記号。目上の人に送る書状(賞状、賀状)には、正しい日本語には含まれない為、用いる事はマナー違反である。今は、まだ。
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