クテンは苦悩していた。

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 完神と二神族による世界拡大は止まる事を知らず、やがて《文化的文章》は〈手紙〉や〈日記〉と呼ばれる形で、時間も空間も飛び越え始めた。  幾つもの文章が折り重なり、十重二十重。それが時折うねりとなって大暴れ、あちらへ行ったりこちらへ行ったり。時には縦に伸びて見せたりし始めた。平面だった《文面》が、立体的になったのだ。  完神は大いに喜んだ。二神族も、完神が喜ぶ様を見て喜んだ。  だが、その事がやがて世界に歪みを生み出し始めた。  誤字、誤謬、誤読、誤解。更に脱字など、あらゆる事が世界を歪め始めた。  加えて、二神族の反目がそれを悪化させる要因となった。  お互いに《文章》をより多く作り出そうと躍起になり、また相手を阻害し、低俗で無価値な《文章》が乱立した。  更に悪い事に、二神族の中においても、更に新たな神々の誕生が爆発的に増え、収まりが付かなくなってしまってきていた。  このままでは確実に世界は崩壊する。困り果てた完神達は、やがて一つの結論に行き着く。 「この《文面》の世界に秩序を。その為に、新たな神族をここに創造する」 「と生まれたのが、僕ら新神族だろう?」  トウテンはクテンに諭すように話す。 「正確には、僕、トウテンと君、クテン。ダクテンとハンダクテンの奴らを合わせて、だけどね」  指折りながら、トウテンが呟く。     
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