98人が本棚に入れています
本棚に追加
エピローグ
サシャムの飛行機を見送った後、頭の包帯は『兄弟ゲンカ』という理由にして学校に登校した秋哉は、
「重役出勤かよ。偉そうじゃないかアキ」
授業中のはずなのに、湧いて出るように現れたテッペーにペロンと尻を撫でられた。
「ウギャッ!」
尻尾を踏まれた犬みたいな悲鳴をあげる。
「勝手にオレに触ってんじゃねーよテッペー!」
怒鳴ってから、秋哉はふと口をつぐんで考え込む。
「ん? どーした?」
いつもならこの3倍はギャイギャイと騒ぐはずなのに、急に黙ってしまった秋哉に、テッペーはちょっと調子が狂ったように首を傾げる。
秋哉の反応が薄いと、あまり面白くない。
秋哉はしおらしく、
「うん」
と、うなずくと、
「国の風習でさ、あんまり体に触らせない子どもが、オレには妙に抱きついてきたり触ってきたりしたんだ。だからアレは、もしかしたら寂しかったせいなんじゃないかと思ってさ」
「はぁ?」
よくわからないことを言い出す秋哉に、テッペーは怪訝に眉をひそめた。
「なに言ってんだアキ。お前、思ったより強く頭を打ってんじゃねぇ? 大丈夫か?」
秋哉は、
「もしかしたらテッペーも寂しいのかなと、ちょっと思った」
続けた。
最初のコメントを投稿しよう!