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学校行事を受け入れてくれたお寺で出されたお昼ご飯は、お寺らしく精進料理だった。
だけど秋哉以外の生徒たちが、
「何だよこれ? なんか真っ黒で気持ち悪ぃ。食えねーわ」
「味がしないよな、それに硬いし。マズイ」
あからさまに嫌悪して箸をつけようとしない中、
「え? わりかしうまいぜ。食わねーなら、そっちもくれよ」
秋哉だけが人の3倍はバクバク食っていた。
「美味いって。ゼンマイっていうのか、この黒いの。メシもなんか茶色いけど、このツケモンがあれば三杯はいける!」
「来生うるさい。食事中は喋らないってさっき注意されただろう」
引率の先生からは叱られたが、秋哉の屈託のなさと言葉通りの旺盛な食欲が、せっかく料理を出してくれたお寺の雰囲気を悪くしなかったのも真実だ。
テッペーは、
「アキ、お前俺の分のメシも食ってたじゃないか。こんなに早く消化すんなよ。燃費の悪い体だな」
そう言いながら秋哉の尻をポンポンと叩く。
「ウギャッ!」
秋哉は猿みたいな悲鳴をあげて飛びあがる。
バッと勢いよく振り返ると、
「……オレの尻を触るなと何度言えば――」
言葉が終るか終わらないかのうちに拳を固めて、
――ゴイン――
テッペーの頭を容赦なく一発殴りつけた。
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