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「痛ってー! このクソバカアキ。お前それが親友に対する態度かよ」
「誰が親友だ。てめーなんか親友じゃねーよ」
ギャンギャンと子犬のようなケンカを繰り広げるふたりだったが、
「いい加減にしないか」
担任教師がコホンと咳払いしながら口を挟む。
「引率してきたお前たちが幼稚園児じゃないかと疑われても、先生は否定できないぞ」
そう言いながら、今後の説明のためにそこに控えていてくれた、このお寺の本物の僧侶にチラリと目をやる。
秋哉とテッペーはすぐにはっと我に返ると、
「すみません」
「すみませんでした!」
並んで見ていた僧たちに、深々と頭を下げて謝った。
――素直だ。
高校の二年生ともなると、ちょうど世の中を斜に構えてみたい年頃のはずで、こんなにまっすぐな気性の主には、昨今めっきりお目にかかれない。
だけど、この来生秋哉は、まっすぐで不器用で、そのくせ正義感だけは異様に強い、昔の少年漫画に出てくるような主人公そのものの性格をしている。
今日の学校行事、『お寺で修行体験』でも、朝からお世話になってる僧侶たちにすっかり気に入られ、急きょ組み入れられた托鉢体験のために、秋哉を始めとする何人かの男子生徒は、普段僧侶が身につける僧衣まで貸してもらえていた。
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