アラビアンナイト

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でも、ずいぶん前から決められていた学校行事なのに、いきなりスケジュールが変わるなんてことは、ままあることではない。 本来なら午後はお堂で座禅体験のはずが、学生たちはいきなり、お寺から出ていくよう命じられたのだ。 まあ秋哉にとっては、じっと座る座禅体験より、市街地で見知らぬ家を訪ねてまわる托鉢体験の方がよっぽどマシなので文句はないが。 僧侶から説明も終わると、先生が横付けしたバスを指さす。 「じゃあみんな、バスに乗り次第出発だ。割り振られた場所で降ろして行くからな。何かあったら、さっき渡した先生の名刺に電話するんだぞ」 「はーい」 みんなぞろぞろと、朝も乗ってきたバスの中に入っていく。 秋哉も列におとなしく並んで、ステップに足をかけるテッペーの尻を見ていた。 『なんでこんなもん、触りてーと思うかな』 テッペーはことあるごとに秋哉の尻を触ってくる。 秋哉が過剰な反応をするから面白がっているのだろうが、秋哉が同じ立場だったら、テッペーのケツなんか間違っても触りたいとは思わない。 『……テッペーは男女の垣根が低いんだろうな』 秋哉と違って、テッペーは男女ともに親友が多い。 秋哉の幼なじみの三嶋カズエも、秋哉より仲良くなったぐらいだ。 『デート現場も目撃しちまったしな』 ……ちょっと気にいらない。
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