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アズハルは、
「ただいまサシャム王子が、確かにこちらに向かう車に乗っていると確認がとれました。改めて失礼をお詫びします。ミスターキスギ」
慣れない呼ばれ方に、秋哉はなんだか尻がむず痒くなってくる。
落ち着きなくソファーの上でもぞもぞやっていると、
「それでは私たちはもう失礼しても? 今日は学校行事なので彼を早く他の生徒と合流させなくてはいけないのです」
先生が代わって言ってくれた。
しかしアズハルはその申し出に、
「それが……」
ちょっと困ったような表情を浮かべる。
「ミスターキスギのお話に、サシャム王子がとても関心をもたれました。どうしてもミスターにお会いしたいと、そう申しておりますので、もうしばらく時間を頂けませんでしょうか」
このジェイド王国からやって来た、アズハルたちの話を要約すると、秋哉の容姿がジェイド王国の第7王子、サシャム、とやらに驚くほど似ているのだそうだ。
それで秋哉を、サシャム王子と間違えた。
サシャムは日本の宗教を見学するために、今日この寺に訪れる予定を組んだらしい。
だから秋哉たちは、いきなり寺から追い出されたのだ。
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