Prologue

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 どうにかなりそうで、デスクの穴からドスコイと両手を突っ撥ねた。 「真山さんさっきからいやらしいですっ」 「少し挑発しただけで可愛い声出しちゃうお前もどうかと思うけど」  なんて言って、またプークスクスと私を小馬鹿にしている。だけどそれも間も無くフツと消え、顎に指を掛けられたのだ。 「何度触れてみたいと思ったことか」  随分と暗闇に目が慣れてきたからよく見える。  盛った野獣の目つきとは少し違う、もっとずっと厳かなもの。それでいて気怠そうに首を傾げる仕草はやけに色っぽくて。  なんて眼力で絡め取るのだろう。なんて台詞でオンナを虜にするんだろう。  ──む、むり。  聴いてただけとはワケが違う。真山リアリティも、胸の鼓動の激しさも。  こんなに近くで拝ませてもらったことなかったから知らなかった。さすが〝抱かれたい男社員No. 1〟、フェロもモンも垂れ流し。 「ましろたん顔真っ赤」 「っ、ましろたん呼ばないでっ」
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