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社長の手前、私に手を出すオトコなどそう居ない。
私自身に興味があるというより、モノにすること自体ハードルが高いわけだから、野獣の闘志も漲るってもの。
一人でなるほど納得している私を、彼はいぶかしげに見つめている、そんな矢先のこと。
「っ、わ!?」
「俺のものになってみない?」
瞬きをしている間にもデスクの穴から引き出され、ほぼ全体重を奪われる。
「真山、さ……?」
「気の済むまで考えてくれていいよ──でも、キスをするまで帰さない」
完璧だった。女子が喜ぶシチュエーションも、抱き寄せるタイミングも、乙女心を鷲掴みにする決め台詞まで。
さすが手垢付けまくりの野獣、こうやって何人のオンナを堕としてきたんだろう。
「私遊ばれるのは嫌です」
「あのなあ、遊び慣れてないお前みたいなオンナで誰が遊ぶかよ」
──おおう、真山さんほどのオトコに交際申し込まれたですよ──!
と、只今絶賛脳内テンションだだ上がり中ではあるが、静かに体を引き戻し、椅子に座ったままの彼にペコリ頭を下げた。
「ごめんなさい。謹んでお断りさせてもらいます」
「!?」
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