野獣の品格

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「妻がいながら義妹の男関係を束縛してる、そんな奴許せるかよ──安心しろ俺がその殻ぶち破ってやるから」 「っ──」  ──もう何を言ってもダメだこのひと……私詰みまくり……。  飲もうとグラスにずっと手を添えてたら、中のフローズン苺は私の熱で溶けていた──そう何も知らないまま、この心は傾き始めてしまったんだ。 「今日の所はもう1、2杯飲んで帰るか。送ってくよ」  おかわりを注文してる横顔を何度盗み見しただろう。  それもじきに堪えられなくなり、真山さんの陣地にちょいとお邪魔して、出てきたばかりの人のスコッチを一息に飲み干した。 「──、おいそれ殆どストレート」  ジュースでクールダウンした意味がない。予測不可能な貴方を驚かせる私も大概意味不明である。  さすが原液、喉が焼けるように熱い。口から炎を吹くんじゃないかってほど。  だけど勢いつけないとこんなこと言えない。 「私今日コットン100%の水玉ぱんつなんです、ちなみに色気0のベージュ!」 「うん聞いてないけど」 「しかも上下模様は合ってません!」 「どんな暴露だよ」 「こんな私でも、もっといやらしいことしてくれますか?」  鼻で笑っていた真山さんも、これには度肝を抜かれたようだ。私からロックグラスを取り上げようとしたまま固まっている。目が点といった状態。
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