踏むなキケン猛獣スイッチ

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「ここ、我が社の最高級マンションシリーズ〝プラチナパークレジデンス〟ですよね。中でも一番売買価格が高かった麻布十番の」 「ああ、会長の孫」 「っ、ふあい!?」  思い掛けず腑抜けた声も出るというもの。 「会長って、その、町内会長とか……」 「ウチの会社のだよ」 「でしょうね。念のため聞いてみただけです」 「でも此処は自腹。当時このマンションの販売担当が昔の後輩だったんだ。キャンセル入った部屋を俺が買い取ったわけ」  こちとら脳内家系図を描いてて忙しいのだ、後付けされた貴方の事情なんて聞いちゃいない。  生まれながらのサラブレッドという噂は聞いていた。親の金に物言わせてる麻央が弟なら当然兄も金持ちなんだろうとまでは予想がついた。だけどまさかこんなに近い間柄にいたなんて。  というのも会長は、社長もとい隼人義兄さんの父親なのだ。お母さんと再婚した男性であり、私の義父に当たる。  ──と、いうことは……? 「俺は……桐谷社長の姉の息子。お袋が嫁に出たから同じ桐谷ではないけど」 「じゃあ真山さんと私の関係って」 「あえて呼ぶなら、お前は俺の叔母かな」 「ひえ、10歳も年下の叔母さん!?」
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