野獣の品格

2/33
22292人が本棚に入れています
本棚に追加
/434ページ
 今にも気絶しそうな自分をどうにか奮い立たせ、午前の業務はなんとか無事に終えられた。  ところがお昼休みになるとどっと精神疲労が押し寄せ社食のテーブルに突っ伏す。 「真山さん何だって?」  興味津々な顔で隣に腰掛ける心の友に「あとでね」と口文字で伝えると、親指一本上に立てて返事をくれた。  珠ちゃんにだけは話そうと思ってるけど、どんな反応されるだろう。何となく予想がつくだけに、窓の外をぼんやり眺めては溜息をつく。  その傍らで社内の噂話をしているのはいつものメンバー。同期の珠ちゃん、そして噂話好きの後輩女子2人組。ランチは大体この4人で一つのテーブルを囲んでいる。 「これでプラチナ色メン御三家揃って部長かー。こうなるともはや鬼上司御三家だよね」 「うっそ他の御三家も仕事にシビアなの?」 「珠子先輩知らないんですか? 経営コンサルタント部部長はまだしも、不動産経営マネジメント部の美馬部長なんて冬の鬼って呼ばれるほど仕事に厳しいって話ですよ」 「美馬部長が冬なら真山部長はアラスカの鬼ってか」 「あはは言えてるー! 凍えるう!」
/434ページ

最初のコメントを投稿しよう!