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何も期待していなかった──
だが、新しくこの地にやってきた領主はモーリスが全てを託した男だった……。
「あ、明日から何をすればいいんだっ!」
一人が瞳を輝かせながらグレイに大きな声で尋ねた。興奮気味の口調に他の民達も乗せられて口々に騒ぎ始める。
「なんだったら今からでもやらせてくれっ!」
「ああ、そうだっ! どうせ寝るだけだっ、それならほんの少しでも作業をしてたほうがいいってもんだ!」
勢い付いて止まらない。なるだけ早くこの土地を元に戻したい──
そういった民の気持ちが早く早くと心を急かす。
グレイはその騒ぎを治めるように手の平を軽く見せる。
口を開き掛けたグレイの様子に民達は直ぐに口を接ぐんだ。
「先ずは塵を全て取り除くことだ──…それから土を入れ換える。食物から出る塵は肥料となるよう取って置くように──…」
「入れ換えるって…、新しい土はどうやって調達されるんで…」
不安になり一人の民がグレイに尋ねる。グレイはその質問にニヤリと笑みを返した。
「気にするな──…そのくらい、国王に“準備させればいい”──…」
グレイは企みを含んだ笑みを浮かべる。そして民達はその言葉に戸惑いながらもただ頷くしかなかった…。
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