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火事のあったその日に首都へ馬車を走らせ救援を求めたが、国は一向に動く気配がない。
葡萄畑が荒らされたことも伝えてあるのに国王はこの地を見捨てるつもりでいるのだろうか?──
国からの音沙汰が何もないまま、ただ不安だけが募っていく。
「もう一週間が過ぎる──…これ以上は我々が持たなくなってくるぞ…」
目を腫らしながらも覆い被さる現実に民は厳しい表情を浮かべ亡き領主の墓石を見つめる。
学校へも通わずただ土を弄り生きてきた──
領主が先導する中、生活に潤いの持てた今だからこそ、子供達を学校へ通わせてやれるまでになったのに。
知恵をもつ指導者のいない今を一体どう切り抜けて行けばよいのか──
フィンデルは手にしたハンチング帽をぎゅっと両手で握り締めた──
その墓を取り囲むようにしている民の人垣を一台の馬車から男が覗いていた。
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