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嘆き 悲しみ 怒り──
理不尽な者の欲に巻き込まれ全てを奪われた民達は何を思うのか──
「出せ──…」
眺めていた顔を前に向けた男の口から一言だけ呟かれ、馬車はゆっくりと動き出す。
民達はその馬車に気付くことなくその日は涙に暮れた。
その半月後だった──
ロマネの民の耳にヘラウド公爵が処刑されたと入ってきたのは。
「処刑!?──…」
「ああ、らしいぞ! 何でも半月前だと、てことはここが焼かれて直ぐってことだ」
葡萄畑に散乱する塵を片付けながら、街にいる息子夫婦の所から戻って来た民の話しだった。
ヘラウド公爵の首が処刑場に晒され街の大きな噂になったらしい。
ヘラウド公爵の処刑には首都の民も対して驚きはしなかった。罪状は言わずと知れた数々の詐欺、そしてロマネの町に火を放った襲撃の首謀者。
他、書き上げればきりがない罪が曝され切り落とされたヘラウド公爵の首の横に貼り出され、民は納得した様子で素通りする──
その数日後、国からはまるで償うようにロマネの町に救援の手が向けられていた。
家屋の修繕や食料も援助され町は少しずつ息を吹き返していた。
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