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まだまだ蒸し暑い9月のこと。
世間では読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋だと言うけれど。
私は仕事の秋だ。
「日野君、前にも言ったよね?」
「すみません」
忙しないオフィスの中、私は声を荒らげた。
説教の相手は部下の日野君。
彼は分厚い自分専用のファイルとノートを持って目も合わせずに頭を下げる。
「君のそのノートはなんのためにあるの? 一度書いたらもう確認もしないの? それとも書いているふりをしてるの?」
「すみません」
「あのね、わかってると思うけど時間がないのよ。何度も何度も同じことを言わせないで」
「………すみません」
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