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「ここは………」
「あからさまに秘密結社の研究室って感じだね~」
踏み入れた研究室は無駄に綺麗なイメージがする研究室だった。
最も棚においてある緑やら紫の謎の液体が見えていなければ、だが。
「ようこそ、私の研究所へ!!私は神威、君達を歓迎しよう」
そういう声が聞こえてきて、春花達は声が聞こえてきた方を見る。
そこには白衣をきて尊大な態度をとっている男と忍者のような格好をしている男。
そして―――
「久しぶりだな、片桐才兎」
「あなたは………睦月さんでしたか?」
「ほう、俺のことを覚えていたか」
「ええ、なんとか。お嬢様のメイドにケンカを吹っ掛けた愚か者ということで、ギリギリですが」
「っ、言ってくれるじゃねぇか」
才兎を深く睨みつけるパーカーを被った男―――睦月がいた。
睦月は以前、美空の家のメイドであり、昔は敵組織に所属していた女性、如月を始末するために才兎に戦いを挑んだ男だ。
才兎の戦いに破れて捕まっていたハズだが、今回の騒ぎに応じて脱獄していたようだ。
才兎を睨みつける睦月を無視するように白衣の男―――神威は口を開く。
「どうだい私の研究所は。君もどうやら科学者のようだから、感想を聞いてみたいものだが」
「悪趣味で無意味な研究ならもう間に合ってるんだけどね~人体実験なんてやってる時点で評価に値しないし~」
「………ほう、随分と言ってくれるじゃないか。凡人の分際で」
春花の挑発に神威は機嫌を悪くしたのか春花を強く睨みつける。
そんな神威の態度を気にした様子も見せず、春花もいつもは見せない真剣な表情で神威を睨み付けた。
「あなたの方こそ凡人でしょ?悪質な人体実験に及ばないと結果が出てない時点で、価値ないよ。そんな研究」
「………ほう、言うじゃないか。私の才能に価値がないだと?神に愛されてるこの私に?」
「下らない自己顕示欲、使い方を間違っている技術。そんなことをしているようじゃ、折角才能があっても宝の持ち腐れだよ」
「………言ってくれるじゃないか、小娘風情が私の研究を侮辱するだと!?貴様、ただでは済まさんぞ!!」
「その程度で怒ってる時点であなたはまだまだだって言うんだよ。怒ってるのは私も一緒なんだから。人を研究材料にしたあなたは、絶対に許さない」
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