第二話 妻のたしなみ

2/2
前へ
/12ページ
次へ
 私はレティシア。愛するデイビットと結婚して幸せな日々を送っているわ。  社交界は本当に気が抜けない。しくじればデイビットの顔が丸つぶれだもの。でも、二人きりになれた時は思い切り彼に甘えられるし! 何より大好きな彼の為だもの!!  今はね、デイビッドは私だけを見てくれている。 でも、必ず飽きる時が来るわ。  それは、三カ月後か、一年後か……わからないけれど。もし、もしね……彼に愛人が出来ても、きっと大丈夫。笑顔で見て見ぬふりが出来る。  お母様だってそうして来たのだもの。ううん、お母様だけじゃない。殿方はそういうもの。  その習性をよく理解して受け止めてあげる。されど野放しにはしないで手綱は妻が握る。遊ばせて従順なふりをして手の平で転がす事。  それが妻として永遠の幸せでいられる秘訣なのよね、お母様。  だけど今は私だけを見てくれる。それでいい。今の幸せをじっくりと味わい尽くすわ。  まだ見ぬ先の不安に悩んでいたら、お肌がボロボロ。目の輝きも失って、会話も、無意識に彼を束縛するようなものになってしまうもの。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加