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若い娘がとぼとぼと小高い山を登っていた。
膝まで雪を埋もらせながら草鞋に素足で、
薄い破れた着物一枚の白い素肌が灰色から青紫に変わろうとしていた。
明治初期、
東北の奥深い山奥の村人、
真理は17歳の短い人生に絶望して雪の降りしきる中、
家族に知られず山を登っていた。
この二月が過ぎ三月になると雪が溶け出す、
雪が溶ければ都会から怖い男が来て真理は身を売られる。
真理はこの村で生まれ育った。
明治初期の激動の時代でも村には何の変化もなかった。
真理の家は水呑み百姓だった。
祖父母も両親も
ボロ雑巾になるまで働いても人並みの生活は出来なかった。
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