第一章 ゴム大好き

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 サボってるから悪い――まさにその通り、みんなバカだから遊んできたんだけど、認められる嬉しさ、成功する喜び、そんな人生の面白さを気づかせずに放置した先生や大人たちに罪はねえのかよ。  と、擁護しておきたい。  まあ、たまにはまっとうな意見も言うさ。  だがそんな俺に転機が訪れた! 大学受験だ。  オヤジから「受験がダメなら、中華料理屋へ行け! 知人の劉(りゅう)さんにお願いしてある!」と、最後通告されたときは焦った。才能があるなら厳しい修行に耐え抜き、料理人として邁進するのもありだが、不器用なのに中華包丁で嬲(なぶ)られながら皿洗いするなんて真っ平ごめんだ。  (ヤベえ! 無駄な苦労はしたくねえ!)  猛勉強して、小指一本が引っかかって、なんとか三流大学に入学した。  我ながら木から木へと移動するテナガザルのような人生だが、いつまでもサルじゃいられねえ! それをきっかけに進化することを決心した。  なんせ学力は卑怯が通用しない。意外に思うだろうが、カンニングは絶対にやらなかった。
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