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中学・高校と学校が一緒だった親友の結婚式が明日に迫っている。披露宴に着ていく
ワンピースも決めた。会場は地方都市の老舗のホテルだった。招待状を返信する時、
誰が来るのか少し楽しみだった。
披露宴も進んで、新婦のお祝いに、招待された女性三人でお祝いの歌を歌うことに
なっていた。一人は高校の時の同級生だけど、一年生の時に中退している、24歳に
して既に、二人の子持ち。そんなに仲が良いわけではなかった。もう一人は親友の短
大の友人らしい。このテーブルで初めて会った。セミロングの髪で大人しい感じの女
性だった。
そして、私はこの日の為に、フォーマル用のワンピースを新調した。ダークブルー
で大きな白い襟が気に入った。
新婦が中座をして、カクテルドレスにお色直しの後にお祝いの歌を歌う事になって
いた。私は、ここまでの新婦の事を思い出していた。学生時代の彼女はいつも要領が
良く、同じことをしても、私だけ先生に??られてばかりいた。いつも、一緒にべった
りいるわけではなかった。そして、家も近所なので、毎日、彼女の家に通学のお迎え
係にもなっていた。
司会者が「それでは」と言った瞬間に私は、華やかな披露宴会場に響く雑談の声を
背にして、そっと席を立った。
「親友ごっこなんて、今日でおさらばだね」
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