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処が、今朝に成って、変装した刑事を呼ぶ手筈の連絡が、被害者から一向に来ない。 導主任は、迅が話を通した事と共に、所轄の警察官に巡回を頼んだから安心し。 迅や他の部下は、その詐欺グループの情報収集に動いていた。
詰まり、被害者はノーマーク状態に成っていた。
だが、機捜の聞き込んだ報告では。 昨夜の10時頃か、夜に帰って来たホステスが見たのだが。 警察官が巡回がてら・・と云う感じにて、被害者宅に話を聴きに来たと云うのだ。
然し、連絡を受けた周辺の所轄署は、そんな命令を出した覚えも無いし。 また、個人的にそれをした警察官も、確認が出来なかった。
其処まで聴いた郷田管理官は、想像するままに。
「話の経過からしますと、その警察官は・・詐欺グループの変装で。 警察官を装った者が調べに入って、被害者を殺した、と?」
其処へ、鑑識の進藤班長が。
「此方での検死では、死後・・約8時間から10時間。 死亡推定時刻は、昨夜の10時から12時前後です」
篠田班長は、隣の尚形係長に身を近づけ。
「証言は、一致しますな」
事件発生の流れは、これで朧気に見えたと頷く尚形係長。
「猶予を欲したから、逆に怪しんだか?」
「はい」
二人のヒソヒソしたやり取りを聴いた郷田管理官も、二人のやり取りの内容は的外れでは無いと思った。 そして、これはその詐欺を働いた組織絡みに成ると。
「話は、此方も分かりました。 今回の事件は殺人の疑いが濃厚と成りましたので、先ずはその詐欺グループを追って捜査を始めましょう」
と、方針を固める。
そして、ペアが組まされる。 だが木葉刑事は、医者の命令で必ず定期的休暇を与えなければ成らない。 だから里谷刑事と組んで、木葉刑事が休みの時は、所轄の二人のペアに加わる事に成る。
そして、捜査会議が終わった後は、導主任が郷田管理官や小山内理事官と話に入り。 その話を係長や班長が聴く事に成る。
一方、廊下に出る木葉刑事と里谷刑事。
「さて、ど~するの?」
と、里谷刑事が言えば。
「そぉッスね~」
考える為に立ち止まった二人を余所に、警察署の玄関先に向かって行く他の刑事達だが。
木葉刑事の眼は、警察署の玄関先に立つ老婆の霊を見ていた。
(ど~するもこ~するも、ねぇ…)
刑事達が出て行く姿が消える前に、木葉刑事は二人ペアの所轄署刑事を呼び止めた。
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