第一章・続2

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「あの、葛城さん」 年配の所轄署刑事で在る葛城は、木葉刑事に呼び止められて。 「お、木葉。 お前・・エラい怪我をしたんだってな」 先輩刑事の葛城は、中肉中背のノンビリ屋。 然し、堅実な捜査をする苦労人で在る。 「はい、ちょっと長く…」 答えた木葉刑事へ、葛城刑事は近付くと。 「んで、どうした?」 葛城刑事が話を聴く体勢に入ると。 「いや、さっきの話なんですが」 「ん?」 「警官に変装は出来るとしても、頭っから足元まで全てなんて・・微妙ですよね。 然も、巡回の警邏(パトロール)に化けるには、自転車も必要ですよね?」 これには、葛城刑事と共に一緒に組む若い刑事が鋭い眼を向けて木葉刑事を見て来る。 その様子に気付く里谷刑事で、彼女の視線に気付く葛城刑事も、彼を見て気付いた。 「おい、木葉よぉ。 まさか、ウチの署員を疑うのか?」 すると、首を左右に振る木葉刑事が。 「警官らしい制服は、ネットでも手に入れられますが。 自転車や警棒は、ちょっと面倒です。 この警察署で警邏(けいら)に使う自転車が盗まれてた・・、なんて無いですよね」 木葉刑事にこう言われて、葛城刑事は直ぐに絶対に無いとも言えず。 「警察署だって、完全な監視下に在るとは言えないな。 調べるなら、足元から行くのも仕方ない」 「葛城さん。 この署だと、自転車って何処へ止めて在るんですか?」 疑いを晴らす為には、とにかく調べる必要が在ると察した葛城刑事は、返ってある種のゾッとする寒気を背筋に覚える。 「待て、それならば先ず、署の総務課の係長と話を付ける」 こう言った葛城刑事は、総務課に向かった。 やはり、所轄としても真実を知るには、ちゃんとすべきと慌てたのだろう。 だが、其処に残された若い所轄の刑事は、明らかに木葉刑事へ不快感を顔へと現す。 その様子を脇で見る里谷刑事は、 「あのさ、やる気が在るのはイイけど、これぐらいの事で怒る訳? こんな時ほどに冷静に成らないと、事件なんて追えないわよ。 てかさ、犯人を見つけ出した時にそんな顔したら、話を聴く前に逃げられるわ。 おっかない…」 里谷刑事に言われて、若い所轄の刑事は更に嫌悪感を現す。 自分の所属する警察署の何も、疑いたくは無いのだろう。
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