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然し…、不思議な事が、この後に起こる。
話を聴いた総務課の係長は、話が信じられないと婦警二人と一緒に遣って来た。 葛城刑事の案内で木葉刑事たち二人は、イライラした若い所轄の刑事も伴って警察署裏の自転車置き場へ行けば。 警察署が保管する自転車は、其処に全て存在していた。
自転車の数が揃っている処で、総務課の係長や若い刑事も安心を得た。 処が、安心も束の間、その一台に血痕が付着しているものが発見される。 被害者の霊が見詰めるので、木葉刑事は最初からその一台が怪しいと睨んでいた。
さて、その血痕の発見で、警察署も慌ただしくなる。 血痕の血液検査をする事と成り、警察署の防犯映像の調査も必要と成った。 昼下がりの騒動で、郷田管理官は驚いていたが…。
推理から自転車の存在を突き止め、その報告をした木葉刑事だが。 その報告を受けた郷田管理官は、事態の判明の仕方が不意打ち過ぎるとキツい眼差しをして。
「木葉刑事。 貴方は、あの血痕をどう見ますか?」
と、尋ねて来る。
だが、冷静な木葉刑事に、これはある種の愚問である。
「郷田管理官。 血痕の事は、調べが終わって答えが出てから判断すべきです。 我々は、機捜が調べた目撃情報を追いましょう。 逃げた方向の監視映像から、確実に分かる影を追う。 それで、一つ一つ済し崩して行くのが、捜査です」
‘ナシ割り’と云う、血痕など証拠から事件解決を追う手柄をその目に入れず。 所轄の刑事に任せて、‘地取り’(聞き込み)に回ると云う木葉刑事。 刑事は、事件の真相を追って、犯人を逮捕するのみ。 刑事で居られるならば、他に望みは無い。 木葉刑事の今の生き方は、其処に終始している。
さて、午前中に逃げ出した格闘家の様な男は、どうやら犯人では無さそうだ。
然し、存在が解れば手掛かりには成る。 逃げた男の目撃情報を追って、木葉刑事は里谷刑事と二人聞き込みをする。
午後の6時前。 篠田班長より、あの血痕の血液型は被害者と一致した・・と連絡が来る。 DNAの検査には、まだ時間が必要と云う事だが。 ほぼ被害者の血液と見て間違いない、そう云うのだ。
だが、そうなると、誰が血痕を付着させたのか…。
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