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一方、夜の入りまでには、事件現場から南方の上石神井の駅まで、袱紗を持って歩く不審なスーツ姿の若者の目撃情報は繋がり。 西武新宿線で池袋へと向かったと、防犯映像からその姿が確認された。
池袋の駅構内の‘アゼリアロード’の壁に凭れた里谷刑事が、篠田班長へ電話し。
「班長、午前中に目撃された若者の足取りは、池袋から山手線で渋谷方面に。 JRから時間を限定した範囲の映像を一気に収集して、降りた駅を特定します」
すると、電話の向こうで篠田班長が。
「あ、その連絡は、こっちに任せろ。 里谷と木葉は、今日はもう直帰してイイ」
「あら、班長。 まだ夕方の6時台ですよ」
「こ~れ~は、郷田管理官の指示だ。 今日の所轄署の血痕騒ぎは、内部の動揺を誘っただろう? 今日は早めに切り上げ、明日の捜査会議でもう一度・・気を引き締めたいらしい」
「あらら、新人は意外とビビりですね」
これには、電話向こうの篠田班長も薄い笑いを出して。
「そう言うなよ。 管理職は、そこそこ大変なんだぞ」
「ハイハイ、了解しました」
電話を終えた里谷刑事は、木葉刑事に事を伝え様と振り返ると。
「はい・・はい、そうですか。 すみません、わざわざ…」
木葉刑事も、誰かと電話していた。
互いに電話を終えて、帰宅ラッシュの人通りが多い中でまた寄る二人。
里谷刑事が、先に。
「今日は上がりで、このまま帰ってイイみたいよ」
了承したと、頷く木葉刑事。
「そぉッスか・・。 じゃ~せっかく池袋まで来ましたから、ラーメンでも食います?」
「ハァ? もうちょっと…」
どうせなら、もう少し気の利いた店を求めたい里谷刑事。
然し、ボヤンとした木葉刑事は、
「里谷さんの奢りなら、何処でもイイですけど。 一年ぐらいの間に3回も入院してた上、半年も減俸を食らった貧乏人に、そんな期待をされても困るッス」
酷く当たり前の事だが。 夢や期待感や頼り甲斐の無い答えが、更なる追い打ちをして来る感じがする里谷刑事。
「もうイイわ。 池袋で有名なのがラーメン・・だけじゃないでしょ? 待ってっ、直ぐにイイ感じの店を探す」
何処かその精神に女性的な処を保つ里谷刑事は、リストランテ風の店を探し出すと。
「此処、二席とった」
横からスマホを覗く木葉刑事は、苦虫を噛む顔をして。
「高かったら、明日から文句攻めしますからね」
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