第一章・続2

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野次馬から離れた現場の敷地内にて、対峙する刑事達。 「んで、何故に二課が出張ってるのさ」 尋ねる木葉刑事へ、迅が答える。 「実は、あの被害者は・・特殊詐欺の被害者でも在りまして。 また、詐欺の二次被害で詐欺を働いた犯人と口論したと思われます」 これを聴いた飯田刑事は、木葉刑事の脇にズイっと出ると。 「まさか、この事件の被害者をそっちがマークしてた訳か?」 明らかに苛立ちが含まれた言い方と察する迅は、また深々と頭を下げて。 「スミマセン。 此方の完全な不手際です。 犯人を泳がせ、アジトを抑える手筈だったんですが…。 話の行き違いから被害者が誤って、犯人を一人で問い詰めた可能性が…」 この話に、今度は里谷刑事の方がムカッと来たらしい。 「ちょっとっ、行き違いでも不手際でもいいわよっ。 それより二課が出張ってるなら、どうして最悪の被害が出るのよっ!」 周りが在る。 声は荒げないものの、明らかに責める言い方をする。 然し、全く態度を変えない木葉刑事は、 「まぁまぁ、現場の状況確認と機捜(機動捜査隊)の報告を聴いてから、迅に詳しく話を聴きましょう。 突っ立ってても、捜査は始まりマヘン」 と、おおらかな対応をする。 「先輩、誠にスミマセン」 大変な迷惑を掛けると謝る迅だが、其処は木葉刑事も醒めた物言いにて。 「迅~、謝る相手が違うダロ~が。 被害者へ、が先だよ」 アッサリと、最もな事を言われた迅。
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