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さて、面子が揃って、事件の発覚から通報までの経緯、鑑識からの報告や機動捜査隊が聞き込んだ情報が報告されると。 木葉刑事は突然にすんなり手を上げた。
「失礼します、管理官。 篠田班の木葉と言います。 一つ、宜しいでしょうか」
場に居る刑事達が一気に木葉刑事を見る。
前面に座る指揮系統の中で、ぽっちゃり系の郷田管理官が、
「事件に関係在る事ですか?」
と、鋭く聞き返して来た。
その言葉に、何故か横を向いた里谷刑事は、
(それ以外で、ナニを話すのよ)
と、呆れてしまう。
まさか、この場で管理官の好みのタイプを聴くとは有り得ない事だ。
一方、木葉刑事は、
「はい。 今回の被害者は、どうやら捜査二課の特殊詐欺対策班がマークしていた人物らしく。 その情報について、捜査二課の刑事さんにも話を聴こうと、同行して貰いました。 もし、管理官さえ宜しければ、この場で説明を一緒に聴いて頂けたら・・と」
と。
いきなり、捜査二課とは…。 集まった捜査員達に軽いざわめきが起こる。 先に着いた機動捜査隊も、所轄の刑事課も聴いて無かった。 迅は、先輩刑事に言われ、進藤鑑識員に挨拶しただけだった。
さて、新米管理官と云う事で、小山内理事官と云う一課長の片腕的存在も居るのに。 郷田管理官は、その人物に相談もせず。
「分かりました。 此方へ呼んで下さい」
と、応えた。
廊下に顔を出した木葉刑事の声で、捜査二課の特殊詐欺事件を扱う居間部刑事と、主任(班長)の〔導〕《しるべ》警部が入って来た。
窓側に椅子が用意されて、二人がパイプ椅子に座る。
早速と郷田管理官は、
「捜査二課のお二人は、被害者をマークしていたとか。 今回の事件に関係が有りそうならば、是非にその内容を教えて下さい」
と、言う。
すると、立ち上がろうとした居間部刑事を抑え、導主任が立ち上がった。 ちょっと神経質そうで身嗜みに注意の欠けた、胡麻色の髪を乱した痩せ形の人物で在る。
「今回の事に関しましては、此方の不手際も在ります」
と、頭を下げた形で、捜査の話をし始めた。
さて、殺人まで起こった今回だが。 実は、裏に新手の詐欺が関係していた。 その詐欺商法は、ある種の霊感商法に近い物なのだが。
“持って居るだけで、振り込め詐欺を撃退する事が出来る”
と、云う触れ込みのモノだ。
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