第一章・続2

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然しその実態とは、詐欺の一団の中で、別々に仕事をするグループ同士が手を組んで。 50万円から200万円程の、品質や作り手の表示全てが嘘っぱちな物品を売る事なのだ。 この詐欺商法、去年の夏前から行われ始めたのだが・・。 捜査二課が注目して取り締まりを強化した問題は、此処からが本題に成る。 それと云うのも、だ。 詐欺集団も、一応はこの商法自体が詐欺だと、カモの中高年にバレない様にするため。 別の不良グループを遣い、偽の振り込め詐欺を商品を売った者に仕掛け、態と失敗をする・・。 そんな作戦を計画し、彼等はそれを演じたのだ。 然し、この詐欺方法、人件費や儲けを考えると振り込め詐欺より黒字は少ない。 だが、最近の取り締まりが厳しい振り込め詐欺の経験から、金を払った事に関して詐欺だと気付かせない様に、と。 詐欺集団も試行錯誤して、この演技をしたつもりだった。 が。 何とそのその効き目が、彼等の想像を超えてしまった。 効き目が有り過ぎた。 何と、商品を買った消費者が、必ず詐欺を撃退する事が出来るので。 ツイッターやSNSで、その効果が絶大と書き回った。 ま、確実に1回は詐欺を撃退する事が出来たのだ。 それは確かに、他人にも教えたく成る。 然し、商品を売った相手へその効果を信用させるのは、最初の演技のみ。 二回目は無いし、他の関係ない詐欺集団の事は彼らの考える範疇に無い。 短期間でネットやら口コミから急速に広がった商品の有益情報は、また短期間で地に落とされる。 そして、一度でも販売に成功した者に再度販売しようとする頃には、別の詐欺集団の販売員とバッティングしたり。 二回目以降の他の振り込め詐欺からは、全く効果が無かったと苦情が出て返って悶着に成る。 そして、今回の亡くなった被害者も、その詐欺被害に遭った一人だ。 然も、昨日の時点で、昼頃に警察へ連絡が来た。 二課の迅が所属する班に、その対処が任された次第。 迅は、昨夜の入りに被害者と接近。 次の商品購入の打診が有ったと知って、金を用意する時間が欲しいと一日の猶予を作った被害者。 迅は、バイヤーが来たら密かにメールを送る様に依頼する。 被害者は老婆だが、電話やメールは簡単に出来ると言った。 騙されたと知る被害者は、絶対に警察へ突き出すと堅く誓ったらしい。
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