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Your change!! 闇を切り裂く黒い狩人
ここ、光都付属大学の図書室の奥の一角に青年が黙々と本を読んでいた。少し長めの髪に切れ長の瞳。誰もが羨むほどの美形だが残念ながら誰一人近づく者はいない。
なぜなら彼、烏真颯(からすまはやて)は猛暑と呼ばれるこの季節なのに黒いコートに黒いズボン、この黒一色に言われようのない不気味さを感じる。そして何より彼の醸し出す雰囲気はまるで誰も近づくなと言わんばかりに重苦しい。
まぁ単に彼が無表情で読書に集中しているからで本人からしたらそのつもりは全く無いのだが。
しかし、そんな彼に背後から近づく者がいた。その者は
ゆっくりと忍び寄り本を読んでいる青年の視界を手で覆い隠した。
「だ~れ~だっ !!」
「むっ。慈(めぐみ)か・・・」
声を聞くだけで分かる。後ろを振り向くと幼なじみの高原慈(たかはらめぐみ)が太陽のような笑顔で笑いかけていた。
「待たせてごめんね。颯君」
「気にするな、そんなに待っていない」
彼女がレポートを提出してくると言って軽く一時間以上は待っていたがどうということはないと颯は返す。
「それじゃ帰ろうか」
家に帰ろうと図書室を出ようとする颯に待って、と慈は引き止める。
「今からデパートに行かない?」
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