第0羽 高原慈の事件簿

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真っ赤な分厚いコートを着た高原慈(たかはらめぐみ)は人々が行き交ううす寒い夜の街を歩いていた。季節は12月でもう冬に突入していた。 「う~寒い。早く帰ってご飯作らないとなぁ」 彼女は手を擦り合わせ、白い息を吐きながら呟く。時刻は午後10時。高校3年生の彼女は来年受ける大学受験のために塾で予習をしていたのだ。 「今日は何を作ろうかな。ハンバーグ?それともオムライス?」 う~んと唸りながら今日の晩御飯の事を考えながら歩く慈。 「颯(はやて)君は何を食べたいかな?」 慈は家で彼女を待っている幼なじみの顔を思い浮かべる。彼とは幼なじみで訳合って一緒に暮らしている。まぁ彼の場合、何を作っても美味しそうに食べてくれるから作りがいがあるのだが。 「あれ・・・?」 と、ここで急に足を止め、慈は辺りを見回す。いつの間にか人気がなくなっているのだ。おかしい、さっきまで人は沢山いたはずなのに。 「ガルルル・・・!!」 不意に聞こえてきた獣のうなり声。怪訝に思いながら声の出所を探すとどうやら前の方から聞こえるようだ。犬かな、などと思いながら首を傾げているとそれは暗闇の中から姿を表した。
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