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《…子ども?》
旗本の足を掴んでいた1、2歳位の男の子だった。鼻を垂らして笑顔で旗本を見上げる。
《…あぁ、困ったなぁ!》
「確かインフォメーションが近くに!君、ちょっと良いかな?足を離してくれる?」
旗本は子どもの腕を払おうとしたが、意外にもその力は強い。爪が肌に刺さるし顔が笑顔から崩れそうだ。
「あぁ、もう。ちょっと、ごめんね。」
旗本は慣れない子どもの対処に追われていると、和泉が屈んだ。
「ばぁっ!」
和泉はおどけて笑顔を少年に向ける。少女は旗本の足を壁に右へ逃げる。和泉はもう一度「ばぁっ!」っと笑顔を向けると少年は左へ。
二、三度繰り返すと少年は笑顔になっていく。和泉はそのタイミングで両手を差し出して「おいで」のポーズをする。少年は笑い声を上げて和泉の腕の中へ。
「いよぉーし!でも僕!おじさんは僕のお母さんも知らないから、僕のお母さんを教えてくれるかなぁ?あっちの人?それとも向こうの人?」
和泉は少年に高さを合わせ、色んな方へ指さす。しかしどうやら近くにはおらず皆知らない顔をしてる。
「和泉君!こっちにインフォメーションある!」
旗本は和泉が少年を離してくれた僅かな間にインフォメーションへ行き、迷子の連絡をする様にお願いをした。
着てる赤いボーダーや年齢の情報が館内に流れるとすぐ様、この子の母親がやって来た。
「すみません、ご迷惑をかけました。」
「いいえ、無事に見つかって良かったですよ。」
旗本は母親に礼儀正しく頭を下げる。子ども無礼も全く気にしてないようだ。
母親に抱えられた少年。手を大きく振り、
「バァイバーイ!」
と言うセリフが。それに和泉も大きく手を振り返し見送った。
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