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そんな旗本と和泉の関係が続きながら、日は進んでいく。
そんなある日の夕刻。社員達が帰宅する中旗本は今日も仕事を続けていた。
「旗本君、お疲れ様です。」
三原部長代理が、オフィスへ来る。
「?」
旗本は席を立ち動く。三原部長代理に近づいて肩に指先で触れる。
「肩にゴミ付いてますよ。」
「あぁ、ありがとう!」
旗本は笑顔で三原部長代理のゴミを取り除く。
「…旗本君?」
「はい?」
「…いいや、…何だか最近、イキイキしてるなぁ、と思って。色々と今日みたいに気づきも早いし。」
「いいえ、そんな事無いですよ。」
旗本は微笑んで余裕で答える。お互いの目を見る。その瞳を見て旗本は何かを察した。
そのまま自分の席に戻りながら三原の方を向いて喋る。
「何か、部長代理は悩みですか?顔に書いてありますよ?」
「…そうなんだよ。」
「私で良ければ相談に乗りますよ?奥さんに迷惑無い範囲でね。」
旗本はそう言って仕事に取り掛かる。
「旗本君?それじゃ一つ聞いても良いかな?」
「はい。」
「やっぱり、仕事に忙しいのは女性は悲しいのかな?」
「うーん、難しい質問ですね。私だったら気にしないんですが…。」
旗本は少し頭を傾ける。
「やっぱり、若い娘だと部長代理の仕事の内容理解しろって難しいですよ。それに帰りが遅いと理由が無くても心配です。早く帰りましょ!」
旗本はパソコンを閉じて帰り支度だ。
「そうだな…。なるべく早く仕事を切り上げないと。」
「…今度の金曜日は棚卸しですから、早く終えて帰りましょね!」
「そういう日に限って相手が忙しいんだよ。」
三原はふぅとため息。すると旗本は三原に近づいた。
「じゃ、その日に少し私が部長代理の愚痴を聞きますよ。」
「良いのかい?」
「ええ、奥さんが帰るその時間迄に終わりましょ。その日は私も少し用事があるので早い時間に区切りたいので。」
旗本はそう言って三原の顔色を伺う。彼もゆっくりと頷いてくれた。
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