女性(ダレ)

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その棚卸しの日がやって来た。この日旗本も三原部長代理も早めに仕事を終える。 そして駅前のバーへ二人で行く。 「…それじゃ乾杯。」 「今日はノンアルコールで短めに。」 二人はグラスをぶつける。 「どうなんです?奥さん、やっぱり帰りが遅いのが心配って?」 「あぁ、婚約したのに帰りが遅いとよく言われるよ。タイミングが良いのか悪いのか、昇進して慣れなくてな。」 三原は少し怒りを吐き出している。いつもより低い声が大きなボリュームで出ている。 「…そう言えば、旗本君。君はここ最近顔色も仕事も良いね。何かあったのかな?」 「…うーん、そうですね…。」 旗本はグラスに映る自分を見つめる。 「色々と吹っ切れましたね。だからもう前に進めるというのか、進むべき方向が見えてる気がする。そんな感じです。」 「…そうか…良いな、旗本君はキラキラして。」 「そんな言い方、しないで下さい!」 旗本は三原の肩をつつく。 その後も三原の話を旗本は親身になって聞き続けた。奥さんにどうやら最近は色々と言われてるらしい。 「…今日はありがとう、少し私も気が晴れたよ。」 「いいえ、また迷惑無い程で。」 「駅まで送ろう。」 「えっと…はい!」 旗本は駆け足で三原の横に。すっと腕を軽く掴みながら進む。 そのまま駅が見えるビル街まで来る。すると旗本は三原の手を離した。 「?」 「すみません、実は私もこの後少し、別の予定があるんで。」 「そうか…、わかったよ。」 「お疲れ様です。」 旗本は深く頭を下げて三原を見送った。
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