あの娘がやってきた

2/6
119人が本棚に入れています
本棚に追加
/140ページ
「城田君!今日の午前中の資料ファイル用意して!」 「わかりました!」 「すみません、旗本さん!」 「何?飯沢君!」 「…生産課から今連絡がありまして、本日分の化粧品の生産量が機械の故障によって減産となりそうで…。」 「早く減産量を確認して!それから復旧の目処もね。この製品なら余剰在庫があるはずよ!先週分の余剰在庫32ケース分で対応できるか確認!できないなら、発送先を確認して!検査と便の都合で調節できるところあるか、報告をお願い!」 今日も会社の中で声が飛び交う。沢山の電話対応をする女性のオペレーター。そして窓の外には沢山のダンボールを入れたトラックが出入りを繰り返してる。 隙間をパズルの様に資料が埋め尽くし、机が押し込められたこのオフィスの中心で声を上げて指示を出しているのが“旗本 光(ハタモト ヒカリ)”。34歳。この課の主任だ。化粧品会社ではあるがここは物流課という、製品の発送準備などを担い力仕事も多く男性が多く活躍する場である。 数多の電話オペレーターや事務の女性社員となんら変わりなく入社したが、その負けん気でたたき上げたキャリアで男性社員にも負け劣ることは無く、この地位を確立した。 「…本当に…旗本主任って仕事できるよな~。」 「…あれで…34歳、今年で35歳。俺の一つ下とは思えないよな!」 「…でも…あれだけ気が強いと…恋人としてはな…。」 「でも…課長とは…いい感じって話しだぜ。」 「本当?課長もいい人だけど…。」 男性社員二人がひそひそと話す。そんな二人の間に割って入るようにする旗本。 「何!?二人してひそひそして!」 「いえ…主任が美人だってこいつが言うんですよ!」 「…そう。ありがとう!でも女性の前で歳を出すのはご法度!それより今日の発送便が遅れるって連絡。私のところに回ってきてなかったけど!」 「ああ、すみません!」 「もう、しっかりして!」 旗本は男性社員の二人の方を叩いた。
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!